おトクな中古物件をかしこく買って、
自分らしくリノベーションして暮らしたい
そんなときこそ、役立てたい“インスペクション”のススメ

中古物件を買ってリノベーションするという人が増えてきました。何千万円もするし、はじめての買い物だし、おまけに中古物件は新築よりも見方が難しいです。そんな時やっておくと安心なのはインスペクション。
今回は中古マンションの購入を検討している夫婦に、棟梁 鈴木がインスペクションとは何かを教えます。

棟梁の鈴木です。

このブログでは、大工、材木屋、リフォーム業と並行し、NHKのDIY番組のアドバイザーも経験してきた自分が、あなたが暮らす家と長く幸せに付き合うためのコツを伝えていきます。

仕事を始めて今年で40年。これだけ長く住宅業界にいると、「棟梁、家を買うときはどこを見たらいいかな」「リフォーム業者はどこがいいかな」「マンションの理事になっちゃったよ。どうしたらいいかな」とかなんとかね。

家にまつわることをいろいろ聞かれ、不思議とまた、これがきちんと答えられるんだ。手を動かして働いていると、案外、知恵も付いているもんだねぇ。

ついこの間も、「中古のマンションをできるだけ安く手に入れて、リノベーションして暮らしたい」という若い夫婦が相談にきたんだよ。

棟梁! わたしたち、将来のことを考えてそろそろ家を買いたいんです。ふたりとも共働きだから、通勤にも便利な都心からはできるだけ離れたくないし、でも、貯金はそんなにないしで、中古マンションがいいなかなって。

おう。そりゃいい目のつけどころだな。
程度のいい中古マンションが見つかりゃ、新築より断然おトクだよ。

そうですよね。安く買って、自分流にリノベーション。流行っているみたいだし。

ただね、中古ってのはなんでも気をつけなくちゃならないことがあるんだよ。新品みたいにいろんな保証書がついてるわけじゃないし、前にどんな人がどんな風に住んでいたかわからない。状態もぱっと見じゃあわからない部分もたくさんあってね。それなりにリスクも知っとかなきゃだめだよ。

リノベーションで住まいを自分流に。
中古マンションが狙い目な理由とそのリスク。

都心でマンションを探している」って相談されたとき、本人たちが「どうしても新築がいい」という場合以外、中古物件をオススメしているよ。

なぜかと言えば、新築物件の価格にはディベロッパーや建築業者など、企画設計建築に携わった人たちの儲けが乗っかっている。
だから、5000万円で買った新築マンションを5年後に売りに出したら、4000万円でも売れなかったなんて話はよくあること。

マンションは基本的に駅前の一等地など、一部を除いて値上がりはしないもの。どうしても新築時より売値は安くなる。
なのに、新築は間取りも内装もいくつかのパターンからしか選べない。
だったら程度のいい中古マンションを選んで購入費用を抑えて、その分の資金で自分の暮らし方に合った間取り、内装にリノベーションした方がいいと思うんだ。

ただ、物件によってはキッチンやお風呂をリノベーションした結果、古い排水管から水漏れ。階下の家に被害が出てしまい、賠償するなんてことも起きちまう。
天井の裏、床の下。目に見えないところの良し悪しを見抜くのは、一般の人には難しいよな。

つまり、中古には中古のリスクがあるわけだ。

安いには安いだけの理由がありますよね。それでもわたしたちにとっては、一世一代の大きな買い物。自分たちだけでいい物件を見分けられるか、心配です…。

そりゃそうだ。安い!おトクと飛びついたら、欠陥があって追加工事に何百万円なんて話もめずらしくないからな。
心配だったら、「インスペクション」っての、やったほうがいいよ!

インスペクション!?

インスペクション」とは、住宅のプロによる住宅診断のこと。

耳慣れない言葉かもしれないけど、中古住宅の売買が盛んなアメリカでは一般的で、日本でも最近はホームインスペクター(住宅診断士)という資格もできて、静かに広がり始めているんだ。

例えば、健康診断みたいなもんで、住宅の診断する目と知識を備えた専門家が、住宅の状況、欠陥のあるなし、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスしてくれる仕組み

画像

インスペクションを利用すれば専門家の目でハイリスクな物件は避けることができる。
駅近がいい、何階がいい、どんな間取りがいいなど、生活にまつわる自分たちの条件と予算から欲しい物件を絞り込めるんだ。
これでローリスク、ハイリターンの買い物ができるはず。

具体的に、インスペクションってこんなときやった方がいい、ていう例を紹介するよ。

インスペクションは“こんなとき”に必要。

買うとき
  • 中古一戸建てや中古マンションの物件を探したいとき
  • 一戸建ての建物の劣化状況、欠陥のあるなし、改修すべき箇所、その時期、かかる費用などを知りたいとき
  • 中古マンションの劣化状況、欠陥のあるなし、改修すべき箇所、その時期、マンション全体の管理状況、大規模修繕工事の計画が適正かなどを知りたいとき
  • 中古マンションでどのようなリフォーム、リノベーションが可能か、費用はどの程度必要か、実際の物件を見ながらアドバイスを受けたいとき
売るとき
  • 中古一戸建てや中古マンションの物件の買い手を探したいとき
  • 持ち家の状態や価値を客観的に知ることで、売値の指標としたいとき
  • インスペクションによる診断書を付けることで、買い手からの信頼を得たいとき
持ち家を点検したいとき
  • より長く快適に暮らすため、持ち家の状態を詳しく知りたいとき
  • この先、必要なメンテナンスを知り、資金を準備していきたいとき
  • 間取りの変更など、家族の増減などで暮らし方を変えたいとき、どんなリフォーム、リノベーションが可能か、費用はどの程度かかるかを知りたいとき
  • 将来的な売却のタイミングを計る指針としたいとき

なるほど。じゃあ、わたしたちみたいに中古マンションを買おうとしている人もインスペクションをやった方がいいんですね!

そうだな。まずは、その物件が値段に見合った価値があるかがよくわかる。それに、お兄さんたちご夫婦みたいに、リノベーションしたいならなおさらだ。

どうしてですか?

プロの目で見ると、その物件がリノベーション向きかどうか、どんな間取りに変えることができるのか、取り払える壁はどれで残さなければいけない壁はどれか、天井を高くしたり、床を下げたりできるか、お風呂やトイレを最新の設備に交換可能か分かれば、どのくらいの費用がかかるか目安もつく。
予算の配分を考えながら、自分流の暮らしをはじめられる家を探せるってわけだ。

素人のわたしたちじゃわからない部分をプロ目線でいろいろチェックしてくれるってことですね。ちなみにインスペクターって、具体的にどんな部分をチェックしてくれるんですか?

インスペクターがチェックするのは
マンションのこんなところやあんなところ。

中古マンションを買うとき、みんなね、一般的には物件の価格が周囲と比べておトクかどうか、部屋の中はきれいかどうかに目がいきがち。

でもね、一番大事なのがマンションの管理状況なんだ。だから、インスペクターが見るのは購入を検討している部屋に加えて、必ず共用部分をしっかりチェックする。

画像例えば、ごみ置き場の清掃状態、不法投棄などがないか、駐輪場は整理整頓されているか。ここからは管理の質、住人のマナーがわかる

共用部分にある掲示場も見逃せない。貼りだされている内容から、マンションの管理組合がしっかりしているかどうかも伝わってくるからな。

そして、廊下や外壁の状態。鉄部が錆びていないか、タイルが劣化していないか、壁の塗装は落ちていないか。合わせて、管理組合に問い合わせて大規模修繕工事の実施時期、今後の計画書も確認する。

大規模修繕工事の計画は、マンション全体の価値と質を保つ上でとても重要なもの。
計画と修繕費用の積立がずさんな場合は、物件の購入そのものを再考するようアドバイスしているな。

画像一方、部屋の中で真っ先に確認するのは、バス、トイレ、キッチンの水回り。
表面上の状態はもちろんチェックするけど、本当に重要なのは給排水の配管設備だ。

築15年を超える物件なら、最低1回は専有部分の配管の交換ないし、改修工事が行われていないと安心できない。
いくらバス、トイレのユニットを新しく交換しても配管が古いままでは水漏れの不安があるからな。

画像あとはお風呂の天井から天井裏を見る。一般的なマンションはコンクリート部分の下に各部屋の天井が造作されていて、天井裏にスペースがあって、排気設備、電気の配線関係が通っているんだ。
その空間の幅によってリフォーム時に天井をどの程度、高くできるかわかるし、換気扇などの排気設備の状態も見る。
またコンクリート部に異常がないかも目視で確認できる。

もちろん、壁、床、天井、押し入れ、クローゼットの隙間、それぞれの傷、汚れ、クラックの調査もし、ベランダの床防水や手すりの状態、サッシの開閉がスムーズか、網戸の状況はどうかなどもチェックする。

ただ、正直に言うと、リノベーションを前提にしているなら、部屋の現況はあまり関係ないんだよ

壁紙が汚れている? 張り替えれば新品だ。
クッションフロアが気に入らない? 予算次第でフローリングにも、畳にも変えられる。
水回りが汚い? ユニットごと新品に交換すれば新築マンションと同等レベルになるよ。
間取りが使いにくそう? 配管の問題があって水回りは動かしにくいけど、部屋の間取りはある程度、自由にレイアウトできる。

もちろん、部屋を見れば、リノベーションにどのくらいの費用がかかるか、予定している予算でどんなリノベーションができるのかもすぐに話すことができるよ。

でも、「買う、買わない」の判断の際に大事なのは、部屋の中の目に見えない部分マンション全体の管理状態なんだ。

そっか。どうせリノベーションできれいにするんだったら、部屋の見た目なんて気にしなくていいんだ。むしろ目にみえない部分をみないといけないんだね。

見た目に惑わされちゃいけねぇよ。人間と一緒だな。

たしかにそうですね(笑)。中古物件を買うときにインスペクションが大事なんだってことは十分わかったんですが、受けるタイミングっていつがいいんでしょうか?

インスペクションのベストタイミングは
物件を絞り込み、申し込みを入れる直前直後。

一番いいのは、買う物件がある程度、定まったときだよね。

物件の見学の段階は、法的な権利も義務もないから、この時点でインスペクションを受け、プロの物件の見方を知るのも手。
基本的な中古マンションの間違わない選び方、見学時にチェックすべきポイントを教えてもらえるから

ただ、インスペクションも無料じゃないから、ムダな出費を省くなら「この物件で決めようかな」という段階がいいだろうね。
特に、気に入った物件への「申し込み」(一般的に申し込みとは、「買付証明書」「申込書」などの書類に記名・押印。同時に「申込金」を支払った状態)をした直後がオススメかな。

「買うよ」と手を挙げ、他の人に物件を買われてしまうのを防いだ状態だけど、法的にはまだ契約前だから、無条件で申し込みをやめることもできるし、申込金も返ってくるから。

「申し込み」をするほど、ピンときた物件に対して、インスペクターの診断が「問題なし」だったら、あんしんだよね。

プロの太鼓判だもんね。あんしんだ〜。

正直、見学のときにインスペクションを受けて、「ここはいい!」となっても中古物件は動きが早いからな。いい条件の物件ほど、すぐ売れていく。真剣に探している人ほど、タイミングは重要だよ。

よくわかりました!いい物件みつけたら申し込んで、すぐインスペクションお願いしてみます!
あとはすぐにインスペクション頼めるように、業者を選んでおきたいところですよね…。

業者もだんだん増えてきて、それぞれ特徴があるし、インスペクターもいろんなバックグラウンドや考え方をもった人がいるからな。誰に頼むかも大事だよ。

知りたいポイントで変わってくる
インスペクション業者の選び方。

インスペクターに相談したい」「インスペクションを頼みたい」と思ったら、どこへ連絡すればいいか。
インスペクション業者には、大きく分けて2つのタイプがあるんだ。

1つは、全国各地のインスペクターと提携している大手の業者
もう1つは、地場で地元中心に営業している小規模業者
それぞれにメリット、デメリットがあるから、自分の希望に合わせて選んだらいいと思うよ。

大手の業者のメリットは、全国に相談窓口があって、インスペクションを手がけてきた物件数も豊富なところ
また、インスペクターの数も多いから、スケジュール調整に融通がきくのと、一戸建てが得意な人、新築が得意な人、中古マンションが得意な人など、各分野のスペシャリストがいるのもいいところ。

ただ、依頼主のこだわりやリクエストを細部まで組み上げて、将来も見据えたアドバイスをくれるかどうかは、微妙なところ
立派な診断書はだしてくれるだろうけど、家を診断するのが目的になってしまって、依頼主の希望をあまり把握しなかったり、家に問題があったときのつきあい方までは教えてくれなかったり…。
こんなリノベーションがしたい! というイメージが固まっている人には、インスペクターの対応が通り一遍に感じるかもな。その辺はデメリットだな。

その点、小規模のインスペクション業者の場合、インスペクターの数が少ないから相談時から同じ人間と話ができる
個々の要望をしっかりくみとって、対応してくれるという意味では、小規模業者の方が安心だ。

キャラクターの立った少数精鋭のインスペクターが、依頼主のリクエストに対して柔軟に対応してくれる。
「こんな物件を探している」「こんなふうに暮らしたい」「こんなリノベーションをしたい」と、具体的な要望を伝えたら本音ベースで応えてくれるよ。
ただ小さいところは営業エリアが限られているのと、先着順で枠が埋まってしまうからスケジュール調整が難しいのがデメリットかもしれないな。

いずれにしろ、中古マンションを買うときはインスペクションを受けた方が安心だ。目的に合わせて、パートナーとなる業者を選んでいこう。

どちらにもメリット、デメリットがあるんですね。
でも、小規模業者さんの方が「こんなリノベーションがしたい!」というイメージを固めるための相談にのってくれそう。

依頼主の「こうしたい」をちゃんと聞いたうえで、10年、20年先まで家とつきあっていける方法をアドバイスしてくれるインスペクターは、その後も頼りになるからな。

家を診断するだけじゃなくて、家とのつきあいかたまでアドバイスしてくれるインスペクターさん。そんな方に出会えたら心強いですね。ふたりで話し合って、じっくり業者を探したいと思います。

おう。いい物件といいインスペクターがみつかるといいな!
中古マンションを買ってリノベーションする人が増えています。
インスペクションを受けるのが当たり前な世の中になる日も、そう遠くない未来にやって来そうです。
インスペクションを受ける目的もさまざま、インスペクターもいろんなスタンスを持った人がいます。
もしあなたが、やりたいことや実現したい暮らしがはっきりしていているなら、診断書だけ受け取っただけでは物足りないかも。
そんな人には、「こうした方がいい」「ああした方がいい」とアドバイスをくれるインスペクターがいる業者をおすすめします。

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